抗生物質(抗菌薬)とは?
抗生物質(抗菌薬)とは?
ジスロマックは抗生物質と呼ばれるお薬ですが、そもそも抗生物質とはどんなお薬なんでしょうか。
よく風邪などで病院を受診した際に、抗生物質と呼ばれる抗菌薬を処方された経験が有る方は多いと思います。そんな、子供の頃から身近にある抗生物質は、微生物から作られているのをご存じでしょうか。
微生物が他の微生物の増殖を防いだり、死滅させることによって殺菌する効果を持った物質の事を言います。抗生物質と抗菌薬は同じもので、広くは抗がん剤・抗ウイルス剤・抗真菌剤も含んで抗生物質と言います。
万能薬ではない為、それぞれ抑制効果や殺菌効果を持つ菌が違うため、症状にあった抗菌薬を使用する必要があります。
抗生物質の誕生
世界で初めて発見された抗生物質は、1928年にアレクサンダー・フレミングが青カビの中から見つけたペニシリンです。
ペニシリンが発見されてから実際に治療に用いられるまで、10年もの時間が必要でしたが、実際に使用される段階まで研究が進むと、次々と新しい抗生物質を利用した抗菌薬が開発されていき、現在では風邪などで病院を受診した際に、処方されるなど身近な存在となっています。
ペニシリンは、20世紀最大の発見と呼ばれる程、医療に対して革命的な発見でした。
ペニシリンが効果を発揮したのは、梅毒でしょう。それまで、治らなかった不治の病を治療できるようになったのが抗生物質です。
1990年には、天然の抗生物質は約6000種類にものぼると言われており、実際に医療現場で実用化されている抗生物質は、100種類を超えるまで研究が進み、半合成の抗生物質も約80種類ほど実用化されています。
抗生物質の選定が大事
それぞれ抗生物質には効果がある菌と、効果のない菌が別れているため、原因となる菌を特定して、その菌に対して効果がある抗生物質を使用しなければなりません。
病状がはっきりしている場合は、すぐにどの抗生物質が効果的かはっきりしているので問題ありませんが、複数の抗菌薬が必要であればまずは検査によってどの抗生物質が効果的か検査します。
また、菌は1種類とは限りませんので、状況によってもどの抗生物質が効果的かを判断され処方されます。
また、抗生物質の効果に関しては、個人差、病気、年齢、抗生物質の感染箇所へ集まる量や代謝される量によって、効果に差が出ます。
人によっては臨んだ効果が出ない場合もありますし、副作用やアレルギー等を持っている方もいるので、医師の判断により最適な抗生物質が選定されるのです。
抗生物質の治療方法
通常は、効果の見込める抗生物質1種類を投与し、効果が有るかどうか様子を見ます。効果が見られない場合は、他の抗生物質へ変更して再度様子を見るといった治療法になります。
抗生物質に対してすぐに耐性を持ってしまうような感染症や、複数の細菌に同時に感染しており、それぞれ効果の見込める抗生物質が違う場合など、初期段階から複数の抗生物質を投与する場合もあります。
基本的には、抗生物質を使用した場合、体内から完全に病原菌が居なくなるまで使う必要があります。体内から完全に病原菌が居なくなる前に抗生物質の服用をやめてしまうと、生き残った病原菌が耐性をもってしまい、パワーアップしてしまいます。
人間もそうですが、病原菌も周りの環境で変化していきます。病源菌も生き物ですし、死滅しない為に、敵に対して対抗手段を練ってくるのです。
病気が再発してしまうと、同じ抗生物質を使用しても効果が薄くなってしまい、治療に対して長引いてしまいます。
抗生物質による耐性菌問題
現代社会では、抗生物質による耐性菌が増加しています。
先程もご説明した通り、中途半端な抗生物質の服用で耐性菌が作られてしまい、耐性菌が人から人へと感染が広がっています。どんどん抗生物質が効かない状態へ、病源菌が進化してしまうので問題となっているのです。
抗生物質は、医療革命を起こした世紀の大発見ですが、使い方を間違えると人類を破滅に導くような病源菌を作り出してしまう恐れもあるのです。
そういった事を防ぐためにも、完治するまでしっかりと治療しましょう。
抗生物質の種類
細胞壁合成阻害薬
人間と細菌では大きく違う点があり、細胞壁と呼ばれる細胞を取り囲んでいる壁が、人間の細胞にはありませんが、細菌の細胞には存在しています。
細菌は丈夫な細胞壁が有ることで、その状態を保っているのです。
細胞壁が薄くなり強度が無くなると、細胞壁は破れてしまい、外側から内側へと水が流れこんできます。そうすると、最終的に細菌は破裂してしまい死滅します。この事を『溶解』といいます。
細菌の細胞壁が作られる過程の中で、微生物によって細胞壁を作れないよう邪魔する事で、細菌は状態が保てなくなり溶解(死滅)してしまうのです。
人の細胞には細胞壁が無い為、人体には影響を及ぼさずに、細菌だけを死滅させる事が出来るのです。世界で初めて発見された抗生物質ペニシリンも、細胞壁合成阻害薬に分類されます。
・β-ラクタム系(ペニシリン系・セフェム系・カルバペネム系・ペネム系)
・グリコペプチド系(バンコマイシン)
・ホスホマイシン系ほか